ステルス戦闘機の予算要求を延期せず2011/04/05 19:34

 防衛省は、新戦闘機の機種選定を予定通り進め、予定通り来年度予算で要求する方針を変更しない、と表明。

 5日のasahi.comによると「防衛省は5日、F4戦闘機の後継となる次期戦闘機(FX)の機種選定について、納入企業や外国政府向けの説明会を13日に開催することを官報で公告した。東日本大震災後も、年内の機種決定と来年度予算での予算要求という予定は変更せず、手続きを進める。」。

 東日本大震災での被害額は25兆円を越えるとも言われていて、災害復旧、復興のための資金捻出のため、こども手当ての上乗せは取り止め、高速道路無料化も取り止め、法人(企業)減税5%も取り止めなどがほぼ決まっている。更に復興目的の赤字国債を発行して日銀が引き受けるという禁じ手まで論じられている。そのさなかに、この役所は上記のような判断を示している。

気象庁が放射性物質拡散シュミレーション公表2011/04/05 23:17

 IAEAからの要請で気象庁が作成、IAEAに提供していた福島第一原発から1ベクレルの放射性物質が仮に放出された場合の拡散予測を極東アジアの地図上にプロットした資料をHP上で公表した。

 気象庁のホームページ上に公開されている資料(英文)を今、読みました。

 (1)IAEAからの要請は毎日、FAXで気象庁に送られています。1回目のFAXは、地震発生後、福島第一原発で冷却機能が失われたことが分った3月11日09:29(UTC)=18:29(JST)に送られてきました。

 IAEAは驚くべき速さで事故の重大性を認識して行動を起こしています。要請回数は4月4日までに23回を数えます。当初は1日平均2回も要請文が届いています。IAEAが当初から地球規模での汚染の広がりを切迫感を持って心配していたことが分ります。

 (2)放射性物質の拡散は、日々大きく変化する気象状況(地表からの各高度での風向、風速)によって強く影響を受けるということをシュミレーション結果は示しています。発生源の福島第一原発を中心にコンパスで同心円を描いて20キロ圏内は避難指示、20~30キロ圏内は屋内退避指示とか、距離だけで機械的に危険度を判断するのはナンセンスだということです。

 海洋への放射性物質の流出と意図的投棄によって海水汚染の進行が明らかになっていますが、大気圏同様に海洋での汚染の広がりをシュミレーションする必要があります。ただ、海中の各地点での深度別の海流の観測データなどないので大雑把な予測しか立てられないでしょう。

 (3)シュミレーションは福島第一原発のある北緯37.4206度、東経141.0329度の地点で、1ベクレル(1e+12)のヨウ素131が放出されたという前提で計算されています。放出地点の高さについては当初100m~500mの前提でしたが、後半は20m~500mになっています。放出から72時間後まで経過を追って広がりを予測しています。

 前提が架空の放射線量だから一般に公表しても意味がないとか誤解を招くとかの理由で非公表にしていました。しかし、気象条件によって、ある時は、すべて太平洋上に向かって広がり日本列島には広がらなかったり、あるいは日本の太平洋岸沿いに広がって行って72時間後には朝鮮半島、中国東岸、台湾にまで達する場合もあるなど様々です。放射性物質の拡散と被害の広がりを予測して対策を考える上で大気の流れが一番重要なファクターであることを示しています。IAEAへの報告書は広く国民や世界の人々が知るべき情報です。