大阪市廃止の是非を問う住民投票2020/10/25 22:56

 羊羹(ようかん)を四つに切り分けたら、多少の大きい小さいは出ますがどれを食べても味は同じ甘さのはずです。

 しかし、大阪市を四つに切り分けたら、多少の大小が生じるだけで、どの特別区も大阪市の住民と同じ暮らしができるのでしょうか?

 羊羹を四つに切り分けるとき、羊羹から砂糖を抜き取られたら、切り分けられた羊羹の味は甘さが足りない、羊羹と思えないものになります。

 大阪市を廃止して、四つの区に分割する際に、住民の暮らしの質に影響する財源を大きく抜き取られるようなのです。そうなれば甘くない羊羹を市民は食べ続けなければならないことになります。

 大阪市のウエブサイトから大阪市の市税収入一覧表を取り出しました。
大阪市の市税収入一覧表

 一覧表を見てください。最新の平成30年度の調停済金額を見ます。
総計7487億円、100.0%
法人市民税1398億円、18.7%
個人特別徴収市民税1514億円、20.2%
個人普通徴収市民税553億円、7.4%
固定資産税2852億円、38.1%
軽自動車税20億円、0.3%
市たばこ税289億円、3.9%
入湯税0億円、0.0%
事業所税278億円、3.7%
都市計画税582億円、7.8%
 市税収入は大阪市民が納める税金です。大阪市民のために100%使われるべきです。

 ところが、大阪市民が暮らすことになる特別区に残されるのは個人市民税(20.2%+7.4%)27.6%と軽自動車税0.3%、市たばこ税3.9%、入湯税0.0%だけになるのです。合計31.8%だけしか自由に使える金額は残りません。

 事業所税3.7%と都市計画税7.8%、合計11.5%は問答無用で大阪府に没収されます。

 法人市民税18.7%と固定資産税38.1%の合計56.8%は大阪府に取り上げられ、その中から旧大阪市民のためにどれだけ使うかは協議の上でとのこと。

 市税収入の半分近い45.8%を占める金額の最も大きい固定資産税+都市計画税は大阪市内に土地や建物を所有していれば支払う通常「固定資産税」と呼ぶ税です。地価の高さを反映して高額になる固定資産税による市税収入は大阪市民のために多方面に使われています。不動産を所有していなくても大阪市民であれば様々な住民サービスに使われ恩恵を受けています。
固定資産税はあらゆる市、町、村が独自収入として自由に使っています。固定資産税を自由に使えない特別区なる存在は町や村に及ばない組織です。


 市税収入だけを見ても、これだけ市民が不利益を被る大阪市廃止に大阪市民は賛成するのでしょうか。


 大阪市のホームページにちょっと古い(平成24年)統計ですが、グラフで分かりやすく市税収入を説明したページがありました。
大阪市の税収 グラフ
 この棒グラフを見ても大阪市の市税収入に占めるピンク色の固定資産税・都市計画税の大きさが分かります。その次が法人市民税でしたが、企業が本社を大阪から東京へ移す動きが続いて減少傾向が見られます。水色の個人市民税が大阪市は他の政令指定都市に比べて少ないのが特徴です。個人市民税が低い理由は大阪市民の個人所得が他の都市と比べて低いからです。それを補う市税収入が固定資産税・都市計画税と法人市民税だったのです。もし、その虎の子の固定資産税・都市計画税や法人市民税を失ったら、大阪府下の他の市町村の住民より手厚い住民サービス(府内で一番安い水道料金、ごみ出し無料、などなど)を従来のように続けることは難しくなります。

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