端午の節句で武者絵を掛ける2015/05/05 18:08

 今日は5月5日、こどもの日です。旧暦で5月5日は端午の節句にあたり、古来、男の子の誕生を祝い、或いは成長を願う日とされているようです。土地の広い田舎では鯉のぼりや武者絵を描いた幟(のぼり)を上げる習慣が広くあったようですが、最近では川の上空に数百もの鯉のぼりをはためかす観光行事ばかりが目立ちます。室内に兜や刀(玩具)や菖蒲の造花を飾ったり、武者を描いた掛軸を掛けたりすることもありました。私の家でも幼児の頃、そのような室内飾りをしていたような記憶がうっすらと残っています。

 今、手元に残っているのは武者を描いた掛軸だけです。元の共箱を取り違えて他所様への贈り物にしたようで、箱書きは不明ですが、作者は落款から考えて大畠文瑛だと思われます。描かれている武者は菊と流水紋を描いた袴を着ているところから河内の国の豪族で、後醍醐天皇の為に戦った楠木正成と推察します。当時、鎌倉幕府からは悪党と呼ばれ、南北朝時代が北朝の勝利で終わると朝敵とされていたのが、明治維新後は天皇に忠義を尽くした大楠公として神に祭り上げられました。昭和初期の掛軸としては楠木正成は画題によく取り上げられたと思われます。
楠木正成を描いたと思われる文瑛作の岩彩画

 掛軸を飾る家も少なくなってしまいました。ですが、大きな絵を巻き取ることでコンパクトに仕舞っておけるのは大きな利点だと思うのです。掛軸は床の間に飾るものとの固定概念を無くせば、洋間でもどこでも飾って楽しむことができるはずです。

京阪神奈の現代アートギャラリー12店が合同展を天満で開催2015/05/04 12:20

「gallerism in 天満橋 リバーサイトアートクルージング」と銘打ってコンテンポラリーアートの紹介活動を中心に据える大阪、箕面、京都、神戸、奈良のギャラリー12店が大阪・天満橋南詰西側のKEIHAN CITY MALLに集結した。各ギャラリーがそれぞれ馴染みのアーティストの作品を同モール2階と8階の各所に展示している。4日から10日まで開催。

KEIHAN CITY MALLは水都大阪を象徴する「大川(旧淀川)」沿いに位置することと店内を巡りながら作品を鑑賞するという意味合いからリバーサイドアートクルージングと名付けられたのではないかと推察する。なおKEIHAN CITY MALLは夏の天神祭ハイライトの船渡御と打ち上げ花火を見るベストスポットでもある。

以前、ここで紹介した嘉納千紗子さんも8階に作品を展示している。私も拝見する予定だ。

6日午後4時には、なじみの薄いコンテンポラリーアートを案内付きで見て回るギャラリーツアーも予定されている。更に、5日には東清亜紀さんの、また6日には加藤巧さんのワークショップも開かれ、予約不要なのでその場で参加できる。2階の受付を訪ねるとよいだろう。
「gallerism web」でネット検索すると公式ホームページが見れる。

gallerism in 天満橋の御案内パンフレットです。KEIHAN CITY MALLの場所を示す地図や駐車場の案内や事務局の連絡先や開催されるワークショップとギャラリーツアーの案内などが載っています。
gallerism in 天満橋の案内パンフレット 表ページ

同パンフレット裏面には2階と8階の展示会場の案内図や出品作家の作品写真が載っています。なお、この写真の作品は今回の展示作品とは別のものです。
gallerism in 天満橋の案内パンフレット 展示会場案内図

神戸の百人色紙展が開かれています2015/04/10 21:17

 「神戸の百人色紙展」が9日から「さんちかホール」で開かれている。14日(火)まで。

 「神戸芸術文化会議」所属の芸術と文化に関る会員から、200点以上の作品が寄贈され展示と入札販売が行われている。入札が複数の場合、高額入札から落札者が決まる。結果は5月に通知される予定。昨年実績では、全数が落札されたそうだ。

 作品はF4サイズの色紙に描かれている。写真作品も同様のサイズにプリントされているようだ。勝手な感想ですが、昨年は重厚な作品が多かったように思うのだが、今年は軽くなったように感じるのだ。本来、色紙に描く作品は軽妙洒脱と相場が決まっているので、あるべき姿かとも思うのだが、他方、物足りない印象も抱いてしまった。

2015年4月 神戸の百人色紙展 さんちかホールで

大西康明展「空洞の彫刻」を見に行きました2014/11/27 01:00

 現代アートの旗手・大西康明さんの「空洞の彫刻」展を見に大阪市北区天満橋1丁目のアートコートギャラリーに行ってきました。  同ギャラリーへは、JR桜ノ宮駅で下車、駅前の源八橋を渡って大川右岸へ。大川沿いの木々が赤や黄に色づいて目を楽しませてくれます。右岸に沿って下流へ遊歩道を進みます。帝国ホテルを右手に見て更に進むとOAPアートコートという建物が見つかります。その1階がギャラリーです。駅から数分の道のりです。
大西康明「空洞の彫刻」
 一番奥の大きな展示室。天井も高く壁面は白。上空にはワイヤーが絡まったような不定形のオブジェが多数浮遊する。その中心部に強烈なライトが仕込まれていて、オブジェのシルエットが拡大されて白い壁面に投影される。ゆらゆら動くオブジェの動きが壁面には拡大されて投影されるので、この展示室に入った鑑賞者は心がゆらめくような不思議な体験をすることになる。このように空間全体を作品にしてしまう現代アートのジャンルを特にインスタレーションと呼ぶ。大西康明さんのこの作品は「空洞の彫刻」と名付けられていました。

丸池’69展を見ました2014/11/18 22:53

 京都市立美術大学日本画科を1969年に卒業した同窓生有志が年1回集まって展覧会を開いています。11月18日から京都のGallery吉象堂で「第16回 丸池’69展」が始まりました。初日に展覧会場を訪れました。11名の日本画科卒業生が手がける作品は日本画だけでなく、銅版画、木彫、ミクストメディアにも広がっています。卒業から45年目。過ぎて来た様々な人生の歩みがあって今この作品があるのだろうなあと感じてしまうのです。
「第16回 丸池’69展」、池田三郎、上田耕呂、奥谷澄、鎌田隆行、神野立生、木村順子、小坂敦子、塩山強、高嵜千歳、殿南直也、藤田一郎
第16回 丸池’69展(2014年11月)小坂敦子、池田三郎、鎌田隆行

嘉納千紗子さんの作品「INNER MIND」を見る=こうべ芸文美術展で2014/11/15 00:33

 第40回こうべ芸文美術展で彫刻家の嘉納千紗子さんにお会いした。嘉納さんは今回、白いストロー彫刻を出品されていた。嘉納さんと言えば赤い長いストローを大量に束ねた大きくて赤色の強烈な作品を「INNNER MIND」の統一名称で発表されてきた印象が強い。今回は白くて短いストローの集合体で作った固い薄い円盤状の物体だ。印象ががらりと変わっている。作者にお話をうかがった。
                  =神戸市灘区の原田の森ギャラリーで
嘉納千紗子「INNER MIND」=こうべ芸文美術展で
 嘉納千紗子さんの作品「INNER MIND」。束ねたストローを熱で融着させて作り出した白い“雲”のような“クラゲ”のようなオブジェが銅パイプを螺旋状に曲げて作ったスプリングの上に取り付けられている。
嘉納千紗子さんの作品中心部を拡大するとストローの集合体だと分る
 オブジェの中心を真上から見る。拡大して見るとストローがすき間なく密着してハニカム構造を形成しているのが分る。中心部は太いストローを使っている。熱で融着したストロー集合体は非常に硬く丈夫なオブジェに変貌している。
作者の嘉納千紗子さん(右)から説明を聞く美術展鑑賞のたち
 展覧会を見に来た入場者の方たちも嘉納千紗子さん(右端)と作品の周りに集まって来られた。嘉納さんから「どうぞ触って見て下さい」と言われ作品に触れると硬い白い円盤がゆらゆらと漂う。非常に堅牢なオブジェなので触ったりゆすったりしても大丈夫なのだ(作者立会いの下に触らしてもらったが、この会場でも彫刻や絵画に触ることは禁止と表示されている)。
 触り動かすことで見るだけとは異なる別の楽しさが広がる。“不思議な”作品に次々質問も飛び出す。作者との応答を通じて現代彫刻への関心と理解が深まった様子だった。
 展覧会入場者とアーティストが作品を前に交流できれば理解が何倍も広がり美術鑑賞の楽しみも倍増するはずだ。特に一般になじみの薄い現代アートではなおさら重要ではないだろうか。

「信楽 阪井七 作陶展」開催中2014/11/02 12:54

 10月29日~11月4日開催の「信楽 阪井七(なお)作陶展」の案内状が、長期旅行から戻ると届いていました。
「信楽 阪井 七 作陶展」2014年10月開催の案内状
 今年は「信楽窯変大壺」が一番作品のようです。昨年は「信楽六窯 破れ壺」で古陶の趣を感じましたが、今回は荒々しさも感じさせる高さ41cmの窯変大壺で、また新しい境地に入られたようです。

嘉納千紗子さんの展覧会の御案内です。2014/10/08 22:20

神戸在住の彫刻家・嘉納千紗子さんの展覧会を御案内します。
「ウェスティンホテル淡路」内のウェスティン回廊ギャラリーで「嘉納千紗子の世界 -INNER MIND-」が開かれています。
  【日程・期間】2014年9月1日(月)~2014年10月30日(木)
 「深層心理にあるエネルギーを表現。束ねられたストローにより、エネルギーが透けて見える世界をお楽しみ下さい」とのこと。




香雪美術館の枝垂れ桃2014/04/09 00:31

 神戸市・御影の香雪美術館の庭で春の花木が咲き誇っている。門を入った右手で枝垂れ桃が2本満開。1本は紅白の花をつける「源平」。もう1本が白一色の「残雪」。この「残雪」は美術館の瓦葺き塀を越えて庭外に枝を伸ばす。
瓦葺塀を越えて庭外へ枝を伸ばす枝垂れ桃「残雪」の風情

 1本の木に紅白の花をつける枝垂れ桃「源平」は殊の外あでやか。
紅白花の枝垂れ桃「源平」も満開

 見事な枝垂れ桜も満開状態だ。3月初めに訪れたときは、花の時期ではなく、枝垂れ桃や桜はか細い枝を垂らして余りにも寂しげであったが、今日は白色や桃色も艶やかに全身を着飾って自信に満ちて春の陽光に輝いていた。
香雪美術館の枝垂れ桜

 香雪美術館では折りしも森田りえ子画伯の「花らんまん展」が開催中だ。5月11日まで。

自作の絵画鑑賞用架台にS40号の油彩画を掛けた2014/01/19 21:10

 一月前に手作りした絵画鑑賞用架台に40Sの洋画を掛けてみた。

 『Л, Дьяконицын 《Рыбы》 1996г,』。
かってのロシア人作家の作品は全般に色使いを抑えた沈鬱な重々しいものが多かったように思う。この絵は窓から南国の暖かい風が吹き込み色使いもあでやかである。窓の外、青い水面の向こうの丘には黄色い菜の花畑。テーブルの上の大量の魚、そしてコーヒーカップ。新生ロシアの開放感が溢れている。でも良く見ると右上隅に何か不気味な影が・・・。新しい時代を手放しで喜んでよいのか・・・心の片隅に不安も。
自作架台に掛けたДьяконицын《Рыбы》1996г,
 キャンバスサイズが100センチ×100センチ、額のサイズは120センチ×120センチ、重さが17.1キロ。補強を施した自作の架台の強度試験も兼ねて、《Рыбы》 を掛けてみる。下の台座フレームから浮き上がるように掛けると支柱が手前に大きく反って倒れるのではないかと恐怖を感じる。結局、額縁の下が台座フレームに微かに触れる程度に吊り紐の長さを調節したところ支柱も垂直になり安定した。

 100号の絵も掛けられるようにと考えて作ったがとても無理だ。額縁の縦寸法120センチが限界だと分った。但し、横位置の絵画なら120M、100M、80P、60Fがいずれもキャンバスの縦寸法が100センチ以下の97センチである。横位置限定なら60号以上の絵も掛けられそうだ。

 40Sの横に12Fの野崎利喜男『楡の木(北大植物園にて)』を置くとすごくちっぽけに見えてしまう。大きさも絵画の重要な要素なのだ。