1923年ハイパーインフレ下のドイツ切手2011/04/29 17:38

 子どもの頃、安物の欧州切手を中身不明のまま、袋買いした中に入っていたドイツの切手です。
 第一次世界大戦に破れたドイツでは、過酷な賠償金支払いが遠因となって、天文学的インフレーションに見舞われます。その時代の切手です。最初は高額切手を新規に印刷していましたが、インフレーションの速度に追いつけず、既存の切手に新額面を加刷して対応しようとしました。
 ハイパーインフレ下のドイツで1923年9月20日に発行された額面5万マルクの切手。切手にはDeutsches Reich(ドイツ国)と書かれています。透かしを見せるため、右は透過光でスキャンしています。5万マルク(50 TAUSEND MARK)は、まだ序の口です。
インフレ下のドイツ切手 額面5万マルク

 インフレの速度に追いつけず、使い道のなくなった400マルク切手に、100 Tausend (10万)と加刷して1923年9月23日に発行した10万マルク切手です。右は透過光でスキャンしています。
ドイツのインフレ切手 加刷10万マルク

 止まらない貨幣価値の暴落。1923年10月1日に発行された200万マルク切手です。200マルクの切手に2 Milionen(200万)と加刷した切手です。元の切手の10000倍の額面に改変しているのです。
ドイツのインフレ切手 200万マルク

1923年10月10日発行の100万マルク切手。図案が一新された。右側は透かし模様を見るため透過モードでスキャナーを使った。
ドイツのインフレ切手 100万マルク

1923年10月9日発行の500万マルクの切手。Deutsches Reich(ドイツ国)と5 MILLIONEN(500万)、5000000 M(5000000マルク)との表示。右は透過モードでスキャナーを使った。格子模様の透かしがはっきりしている。
ドイツのインフレ切手 500万マルク

インフレの進行を追い駆けて、切手も短期日に更に高額な切手を出し続けた。最後は1923年11月24日発行の500億マルクの切手であった。1923年12月末には500億マルクの切手を貼っても市内に葉書を一枚送れるだけになった。

ドイツの1902年発行通常切手2011/04/29 00:55

 切手収集に夢中で取り組んだのは小学1年から4年までの間だけだった。朝日新聞社から出ていた子供向けの趣味読本「バンビ・ブック」シリーズの影響で火が点いたのだった。それも4年間で終了して、その後、小学5年からはアマチュア無線(ハム)にのめりこんで行った。
 切手に話を戻す。切手商に出入りしてガラスケースの中の切手を眺めていた。小遣いで買うのだから高いものは買えない。欧州で大量に発行され希少価値ゼロの切手を100枚単位でパック詰した商品があった。お徳感があったので、これをよく買った。中身不明の福袋のようなものだった。国別にストックブックに並べて整理はしたが、それ以上は、どのような切手か不明なままであった。世界中の切手を網羅したスコット切手カタログのことは知っていたが子どもが買えるようなものでなく、それ以上は踏み込めず半世紀に渡って中断していた。今なら、インターネットで調べることができる。
 偉大な切手収集家のホームページを拝見して得た知識で判明した切手の来歴をいくつか紹介する。1902年4月1日、ドイツで発行された通常切手である。DEUTSCHES REICH=ドイツ国と表示された5 pfennig=フェニッヒと10 pfennigの2種類。pfennigはmarkの1/100の通貨単位。未使用切手の現存数は極めて少ないそうだ。逆に言えば使用済みは巷に溢れていてお宝価値はほとんどない。だけど100年前のドイツ切手が手元にあるということが少しうれしい。肖像は舞台女優の横顔とのこと。よほど有名な女優だったのだろう。
1902年発行ドイツ通常切手

切手 地球物理学年 スプートニク2011/04/27 23:46

やはり子どもの頃、収集した宇宙切手です。同じ切手商から1957年に購入したと記憶しています。
一枚は、ドイツ民主共和国(東ドイツ)が国際地球物理学年を記念して発行した切手です。図柄は1957年10月4日にソ連邦が世界で初めて打ち上げた人工衛星をモチーフにしています。描かれている衛星は、実際の衛星とまるで似ていません。
GEOPHYSIKALISCHES JAHR 1957-1958
地球物理学年 1957-1958
DEUTSCHE DEMOKRATISCHE REPUBLIK
ドイツ民主共和国
4・X・1957
1957年10月4日
東ドイツ発行の宇宙切手 スプートニク1

もう一枚は、チェコスロバキヤがやはり国際地球物理学年を記念して発行した切手です。図柄に1957年11月3日にソ連邦によって打ち上げられたスプートニク2号をモチーフにしています。後に発表された衛星とは、まったく似ていません。世界初の人工衛星打ち上げ成功から1ヶ月経たない11月3日、畳み掛けるように2号が打ち上げられました。米国の受けた衝撃は大変なものでした。2号には、ライカ犬が乗せられていました。宇宙環境で生命体が受ける影響を初めて調べました。ライカは種名で名前ではありません。
チェコスロバキヤ発行の宇宙切手
チェコ語もスロバキヤ語も学んだことがありませんが、国際地球物理学年1957-1958、ソビエト連邦の人工衛星 1957年11月3日と判断しています。

趣味の王様 切手収集 世界初の人工衛星2011/04/27 00:34

世界初の人工衛星スプートニクの記念切手
 その昔、切手収集は趣味の王様と言われた時期もありました。ご多分に漏れず、私も子どもの頃、切手収集にのめり込んでいた時期がありました。大阪・御堂筋の大丸前に店を構えていた日本フィラテリックセンターに子どもながら出入りしていました。そこで予約募集していたソ連邦が打ち上げた世界初の人工衛星を記念した切手を申し込み入手しました。今も大事に持っています。

切手には、1957年10月4日にソ連邦によって打ち上げられた世界初の人工衛星が地球を回っている姿が描かれています。

4 ОКТЯБРЯ 1957 г. 1957年10月4日

Первый в мире советский искусственный спутник Земли
世界初のソビエトの人工衛星

40 КОП. ПОЧТА СССР 40カペイク ソビエト連邦共和国郵便

世界中が驚きました。何でも米国が一番だと思っていたのにソビエト連邦が世界初の人工衛星を打ち上げたのです。一番驚いたのは米国でした。スプートニクショックと呼ばれました。スプートニクは単に衛星の意味なんですが、固有名詞のように誤解されていたようです。

さすがに本国が出した切手の図柄は正確に人工衛星の姿を描いています。同盟国の東ドイツやチェコスロバキヤが出した切手は衛星の姿が実物とまったく異なっています。想像で描いたとしか思えません。