小学生の年間被爆線量20ミリシーベルトに疑義広がる2011/04/30 21:20

 4月29日、東大大学院の小佐古教授が内閣官房参与を辞任し、asahi.comによると「小学校などの校庭利用で文部科学省が採用した放射線の年間被曝(ひばく)量20ミリシーベルトという屋外活動制限基準を強く批判。「とんでもなく高い数値であり、容認したら私の学者生命は終わり。自分の子どもをそんな目に遭わせるのは絶対に嫌だ」と訴えた。「通常の放射線防護基準に近い年間1ミリシーベルトで運用すべきだ」とも述べた。 」とのこと。

 今日、NHKテレビで辞任会見を見ると、。「通常の放射線防護基準に近い年間1ミリシーベルトで運用すべきだ」と述べた場面のあと涙を流していたのには驚いた。

 小佐古教授は原発推進派の最右翼と見られていただけに、そのような人物も憤慨する、文部科学省と政府の人命無視の非人道的政策の強行なのか、自民党と歩調を合わせて民主党政権への打撃をめざす行動なのか、判断はつきかねる。

 小佐古東大教授の内閣官房参与辞任はさておき、児童の年間被曝線量を20ミリシーベルトとし、1時間当たり3.8マイクロシーベルトまでなら学校を再開してもよいという文部科学省からの自治体、教育委員会への指示は今後50年間しっかりと記憶に留めて置かなければならない。文部官僚たちの行動は子どもの健康より自分たちの行政遂行上の都合を優先させたものであり、人道への犯罪行為として50年後に裁かれるであろう。

 ICRP(国際放射線防護委員会)放射線作業従事者に対しては年間20ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトを越えないことまた、5年間で100ミリシーベルト以下であっても、5年間のどの年も50ミリシーベルトを越えてはならないとしている。

 放射線作業従事者以外の一般人に対しては年間1ミリシーベルトを越えないこととしている。

 放射線被爆による人体への影響は確定的影響(因果関係が成立する影響)と確率的影響(因果関係が不明だが、統計的に大きな母集団を比較すれば、被曝者集団と非被曝者集団との間に有意的差異が見出され)に分かれる。確定的影響は、原子炉建屋に突入して毎時1000ミリシーベルトの環境で作業に従事することでもしない限り起こらないが。確率的影響は年間1ミリシーベルト以下でも起こる。放射線被曝量に正比例する。

 50年後に比較すると、福島県の幼稚園・保育園で過ごした幼児が、また小学校で過ごした学童が、他の地域で育った幼児や学童に比べてがん・白血病・遺伝的障害発生率が高くなるのは避けられない。成人を想定している年間1ミリシーペルト以下の指標に対して6歳以下の幼児では5分のⅠの0.2ミリシーベルト以下になるように環境を整えるべきだろう。文部科学省からの指示は、100倍も高い放射線量を子どもたちに浴びさせることになる犯罪的行為である。

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