高価だった16年前のPCマザーボード2011/04/11 15:13

 久しぶりに最新のマザーボードを購入してPCの組立を始めた。一方、部屋には古いマザーボードが捨てられずに山積み状態。箱を開けて見てみると当時の領収書も入っている。マザーボードを幾らで買ったか記憶になかったが、今、領収書を見ると4万円以上とわかり驚いた。
95年購入マザーボードの領収書
16年前の95年7月に購入したマザーボードPCI54IT/Sが、¥39,800円+消費税3%が付加され¥40,994円也。
マザーボードPCI54IT
PCI54ITはTMC製の75MHz~200MHzのPentium対応マザーボード。外部キャッシュメモリーを搭載することで高速化できる設計。当時のPentiumに内部キャッシュは無かった。外部キャッシュメモリーがまた相当高価だった。やはり領収書によるとPCI541T用Pipelined Burst Cache Module 256KBに¥17,300円支払っていた。
キャッシュモジュールPB256K
CPUはインテルのPentium互換のIDTのWinChip200MHzを搭載している。もうIDTというメーカーのことも記憶にないが1997年にWinChipという内部クロック66MHz、外部クロック200MHzのCPUが存在したことは間違いない。
idt WinChip 200MHz CPU
この石が幾らしたか記録は無い。15年前のPC互換機の作製費用は、今の3倍ぐらい掛かったようだ。しかも演算速度は今より2桁遅かった(100分の1以下)。PCは高性能化とコスト低下が同時進行してきた。コンピューター関連産業でもハード分野の利益は限りなく低下する。米国はCPUのデザインを押さえて利益を確実に出せるが、日本は、周辺デバイスの製造だけを担って利益はまるで出ない構造になっている。

22年前、米国ロスで買ったPC2011/04/11 22:43

 1989年3月、中米出張の帰りに、発売直後のMacintosh Ⅱcxを手に入れる目的でわざわざロスアンジェルスに立ち寄った。リトル東京に宿を取り、ホテルのコンシェルジェに頼んでappleショップに電話を掛けまくってもらった。30分も電話でⅡcxの在庫がないか聞いてもらったがどこにもまだなかった。土曜日の午後で閉めているショップが多かった。
 1泊2日の滞在なので、あきらめきれず歩いて探そうと街に出た。appleを置いている店は見つからない。そのうち日が暮れてきた。手ぶらで帰国するのも納得できず、代わりにTandy Radio Shackで購入したのがこのマシン。当時、米国で当たり前に使われていたIBM PC/AT互換機である。Tandy 2500SX/20 HARD DRIVE。CPUはインテルの80386SX。日本円で17万円ぐらい払った気がする。
 なお、IBM PC/ATとは、IBMが1984年に発表したインテルのCPU80286を乗せOSにPC-DOSを採用したパーソナルコンピュータのことで、マシンの仕様書を広く公開したので、その互換機が様々なメーカーから安く開発され世界中に普及した。
Tandy 2500SX/20
 シャーシーを開いたところの写真だが、CPUはIntelの80386SXからCyrixのCx486SLC2に換装している。昔、80386SXをCx486SLCに付け替えるのが流行したのだ。大ブームになった。みんな早さに飢えていたんですね。
 浮動小数点演算素子Cyrix FasMathチップまで搭載している(下の写真、右側)
Cx486SLC2に換装
 付け替えるといっても、80386SXはソケットに刺さっているのではなくて半田付けされているのだから、事は簡単では無い。80386SXの周囲に出ている足が各辺25本、4辺で100本あり、100本足の半田を一気に溶かして外さなければならないのだ。
特別な半田ゴテを秋葉原で購入した。半田ごてはHAKKOのNo.924で55Wと熱量が多く先端のコテ先をネジで取替え可能な構造。使う前にコテ先には半田をたっぷり乗せておく。CPUの足と密着性を高めて同時に熱が伝わるようにするため。
CPU換装のために買った半田ごて
 ピンの間隔が0.635mmでピンとピンの隙間が0.2mmしかないので、486SLCの半田付けは困難と思うでしょうが、意外と簡単なのだ。80386SXを外した後を綺麗にした跡地に、486SLCを正確に置き、テープで動かないように固定する。その後は、ピンとピンの間が半田で短絡してもかまわないのでたっぷり半田を乗せてしまう。その後、純銅製の紐をピンの上に置いてコテで暖めながら吸い取っていく。緑色のレジストされた部分は半田がくっ付いていないので銅の半田吸い取り紐に吸収され、銅色のランド部分だけに半田が残る。ご覧のようにプロ並の仕上がりとなる。

Cyrix Data Sheet
サイリックス社のCyrix Cx486SLC(右)とCx486DLCのデータシート。486DLCはソケットにさして使うタイプ。