最終日の「兵庫・神戸の仲間たち展」を見て、その後、プーシキン美術館展に足を伸ばしました2013/12/03 17:06

 2ヶ月間に渡って開かれた「神戸ビエンナーレ2013 兵庫・神戸の仲間たち展」も12月1日、最終日を迎えました。展示は前期と後期に分かれています。後期の展示を見るためBBプラザ美術館に出かけました。阪神電車・岩屋駅から南へ徒歩3分です。
 展示は前期と同じで入口近く通路状の左右の壁面を使って日本画の展示があり、その先の広いスペースの四つの壁面に洋画の展示が展開されます。展示数も前期と同じで日本画13点、洋画38点、合計51点です。

 日本画も洋画も充実した作品が並んでいます。その中でも、私の心に響いたのは、日本画では西田真人「染まる街」です。三角形のスペースに金箔を貼り詰め、そこに赤く染まって行く暮れなずむ神戸の街が描かれています。金箔が暮れゆく情景の表現効果を高めています。美しいけれど寂しさがじわじわと迫ってきます。

 洋画では、まず羽田英彦「位相1337」がインパクトがありました。画面のほとんどを赤一色で埋め尽くしています。吸引力がすごいですね。絵の前に足止めされました。

 同じく洋画の米澤光治「大運橋・恩加島付近」ですが、私には懐かしさと心の安らぎを感じる作品です。絵からは運河沿いの空気感が漂ってきます。鉛色の水のよどみの表現も見事です。好きな絵です。
 大運橋(だいうんばし)は大阪市大正区南恩加島(おかじま)の千歳運河に掛かる橋です。南恩加島を含む大正区は木津川と尻無川に挟まれた地域で千歳運河はその二つの川を結びます。この運河や両河川の周辺は鉄骨橋梁メーカーや大小の金属加工工場が密集する地域です。私の父も大正区で鉄骨橋梁メーカーの経営者を戦中から昭和49年まで勤めていて、幼かった私も何度か工場に足を踏み入れたことがあります。鉄錆の臭い、赤茶けた色彩が充満する街でした。

 BBプラザ美術館を後にして、阪神電車で二駅、三宮で降りて神戸市立博物館まで歩きます。10分ほどで「港こうべ」で一番美しい街並みの中に博物館はあります。「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」のタイトルが示すように、ロシアの美術館が収蔵する作品の展示ですが、展示作品はほぼ全てフランス絵画です。エルミタージュといい、ロシアにはフランス絵画が大量に所蔵されています。ロシアの貴族社会ではフランスへの憧れが非常に大きなものでした。ロシア文学を読んでもフランス語がところどころに挿入されて当時の上流社会の空気が伝わります。フランス人家庭教師を雇うことも当たり前だったようです。そんな時代ですからフランス絵画の収集は当然のことだったのでしょう。
プーシキン美術館展 神戸市立博物館玄関ホールの記念写真撮影用書割
 玄関ホールにはルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」の大きな衝立(右)と蒐集した絵画を壁一面に飾った旧イワン・モロゾフ邸の一室を写したセピア色の原寸大書割(左)が置かれている。この前で記念写真をどうぞ撮ってくださいという趣向。  わりに早めに見学を終えて引き上げました。

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