神戸ビエンナーレ2013 (10月1日~12月1日)が始まりました。2013/10/05 00:18

 「港で出会う芸術祭」ー神戸ビエンナーレ2013(10月1日~12月1日)が始まりました。2年毎に秋の神戸を舞台に開かれる芸術祭も4回目になりすっかり定着してきた感があります。同時並行で各種展覧会やイベントが進行しますが、詳しくは神戸ビエンナーレ事務局のHPに載っています。

 神戸ビエンナーレ2013の一環として開催されている「兵庫・神戸の仲間たち展」を神戸市灘区岩屋中町4丁目のBBプラザ美術館で鑑賞してきました。

 県内限定の公募展となると美術愛好家を増やすことが目的になっているのか作品の質の面で巾がありすぎ、鑑賞してもあまり楽しめないこともありました。

 「兵庫・神戸の仲間たち展」は会場に入って少し見ただけで作品の質の高さに驚かされました。譲っていただけるなら購入したい作品も多数あり興奮しながら見せていただきました。

 この違いは何なんだろう。疑問を美術館の方にぶつけて見ました。「兵庫・神戸の仲間たち展」は公募作品ではなく、美術館からぜひ出品していただきたい画家を選定してお願いしたそうです。102人の画家の方たちも依頼に応えて力作を寄せておられます。美術館にとっても自信を持って有料展示できる作品が集まっています。展示会場が幸せな空間になっていました。
 担当者に更に訊ねました。山田弘委員長以下7名の選考委員会が102名の日本画家・洋画家を選び、ビエンナーレの統一テーマである「さく“saku”」に沿った出品を依頼したので作品はビエンナーレのための新作のはずだそうです。

 102点の作品は前期と後期に分けて展示されます。前期も後期も日本画が13点、洋画が38点の51点です。期間も前後期同数の31日ずつで、通常は月曜休館なのですが、神戸ビエンナーレ期間中は無休で開館されます。

 神戸ビエンナーレ2013のHPに出品画家102名のお名前が掲載されていますが、どなたが前期でだれが後期の展示がわかりませんでした。実際には、ポスターの上段に名前が並ぶ51名が前期で、下段のお名前の方が後期でした。どのように分けたか担当者に伺うと、作品が到着するまで絵のテーマも図柄も分らないので、作者名をあいうえお順に並べ、日本画家26名中、「あ」から「し」まで13名、洋画家も76名中、「あ」から「た」まで38名と機械的に前期・後期に分けたとのこと。2期に分けたのは美術館の展示スペースの制約からで、やはりスペースの関係上、絵のサイズも30号までに制限したそうです。同時開催の現代陶芸展は入れ替え無しで11点の作品が62日間展示されます。
BBプラザ美術館で始まった兵庫・神戸の仲間たち展のポスター


 平日の昼間でしたが熱心な方々が鑑賞に訪れていました。
BBプラザ美術館で始まった兵庫・神戸の仲間たち展(前期)。日本画の展示コーナーで足を止める入場者。左から雲丹亀利彦「夏の刻」、北里桂一「椿図」、小坂敦子「移ろい」、勝部雅子「明けに咲く」、川瀬陽子「地上の星」。
 日本画の展示コーナーで、足を止めて作品に見入る人。 写真の中の作品は、左から雲丹亀利彦「夏の刻」、北里桂一「椿図」、小坂敦子「移ろい」、勝部雅子「明けに咲く」、川瀬陽子「地上の星」です。

 美術館顧問の坂上義太郎氏による展示作品解説「ギャラリートーク」を聞いた。展示の配列には並々ならぬ工夫が凝らされていた。日本画作品の中に花を描いた作品が4点あり、それを春夏秋冬と読み解いて右から左へ順路に沿って並べたのだ。川瀬陽子「地上の星」が春、勝部雅子「明けに咲く」が夏、小坂敦子「移ろい」が秋、北里桂一「椿図」が冬との見立てだ。なるほど、そのような工夫がされていたのか。洋画も含めて全ての作品の配列には意味付けがあったのだ。初めて知った。

「信楽 阪井 七 作陶展」で器を購入しました(1)2013/10/05 11:53

 阪神梅田本店美術工芸サロンで開かれた「信楽 阪井 七 作陶展」を見せていただきました。
 案内葉書きに掲載の「信楽穴窯 破れ壺」は開けようとしてできた破れではなく焼成過程で偶然にできたもののようです。焼き物の面白さは土と炎が自ら作り出す意外性にあるのかもしれません。

 今回は信楽焼きの用途自由な器粉引きの取って付きカップの2点を購入しました。

 用途フリーと表示された信楽焼きの器は巨大ぐい飲みの風情で、手で握るように持つと抜群の心地よさがあります。器を上から見ると長楕円形をしていること、指先が引っかかる窪みがあること、信楽焼きのざらついた表面などが手になじみます。
 会場でこの器を掌に納めながら焼酎のお湯割りに向いているなと感じていました。
阪井七(なお)作の信楽焼きフリー杯 阪井七(なお)作の信楽焼きフリー杯 阪井七(なお)作の信楽焼きフリー杯
 信楽焼きは、この緋色(火色)に心躍りますね。この器で沖縄で買ってきた泡盛を7:3に水で割って(水7、泡盛3の割合に薄める)飲んでみたいと思っています。

「信楽 阪井 七 作陶展」で器を購入しました(2)2013/10/16 01:09

 阪神梅田本店で開かれた「信楽 阪井 七 作陶展」では、粉引きの取っ手付きカップも購入しました。
 こちらは「この器でコーヒーを飲んだら心地よい時を過ごせそうだなあ」と思わせる穏やかで和める風情を漂わせ手招きしていました。思わずこちらの器も買ってしまいました。

 今まで使ってきたコーヒーカップは上から見ると真円でどこから見てもゆがみも無く工業製品のように整った姿をしています。磁器製のカップの方がコーヒーカップとして使い続けても変色も少なく取り扱いも楽です。
 一方、粉引きの器は陶土で作った土台に白い化粧土をかけて作るそうですが、器に入れる液体を吸い込み汚れが目立つと言います。粉引きの器は汚れが付き易いとの心配で一時逡巡しましたが、形の良さにほれ込み結局購入しました。

 購入後は真っ先に目止めをしました。米のとぎ汁で器を30分ほど沸騰しない程度に煮沸しました。これである程度は汚れの付着は防げるようですが、長期的にはやはり茶色味帯びるようです。でも使い続けてこその陶器ですから、普段使いにして多いに楽しみたいと思います。

阪井七(なお)作陶の取っ手付きカップ 阪井七(なお)作陶の取っ手付きカップ 阪井七(なお)作陶の取っ手付きカップ 阪井七(なお)作陶の取っ手付きカップ  上から見ると器の縁が楕円形です。飲み口を真横から見ると真平らではありません。手で持つと表面に凸凹感があります。粉引きの白い肌に緋色が不規則に自然任せに顔を出しています。こういうところが集まって穏やかで心和む風情をかもし出しているのでしょう。

 阪井七(なお)さんは今回も、会場を訪れる陶器愛好者、或いは阪井七ファンの人たちとの応対で息つく暇も無いほどの忙しさです。その隙間を縫って今回の主要作品と共に写真に入って頂きました。写真左端は案内状を飾っていた「信楽穴窯 破れ壺」です。壺に縦に稲妻型に入った2本の裂け穴は意図して作ったのではなく、穴窯の中で土と炎の相互作用が作り出した、陶芸のもつ不思議な力の証明とも言える作品です。
左端の「信楽穴窯 破れ壺」など主要作品と陶芸家の阪井七(なお)さん=阪神梅田本田で開かれた「信楽 阪井 七 作陶展」で

第68回 行動展を大阪市立美術館で見ました2013/10/16 18:22

 第68回 行動展 巡回展が10月9日から14日まで大阪市立美術館で開かれていました。見に行ってきました。

 行動展は行動美術協会が1946年から秋に開いてきた公募展です。行動美術協会の結成が1945年11月ですが、46年5月に春季展、9月に第1回行動展を開いています。それから68回目の行動展です。

 そもそも行動美術協会は、大正の始めから30年間続いた二科会が敗戦濃厚となった1944年に美術活動継続困難と解散した後、無条件降伏の1945年8月15日直後に発生した二科会再結成の動きに同調しない向井潤吉ら旧二科会メンバー9名が結成しました。

 結成の辞で「吾々は解散に到るべくして解散した旧二科会の復活には何等期待するところがない。(略)。徒らなる論議よりも先ず行動、逞しく黙々とこの道を邁進せんとするものである。」と述べている。

 また趣意書で「行動美術協会は、自主的かつ独自な在野美術家集団として、個性的な芸術主張とその発表の自由を尊重しつつ、(以下略)」と在野主義、個性的芸術主張を高らかに掲げている。

 大阪市立美術館の地下展覧会室で開かれていた行動展大阪展には会員の作品が150点、会友の作品が44点、一般出品者の作品が39点、彫刻部会員の作品が10点、遺作絵画4点と遺作彫刻1点の248点もの作品がぎっしりと展示されていた。

 絵画作品のほとんどが100号を超える大作ばかりなので展示室の壁面に納まらず上下2段の展示も。130号の大作を2段重ねで展示できるのは美術館の天井が5m以上と高いからだ。それでも作品数が多すぎて廊下にもはみ出して展示されていた。廊下は照明が暗く鑑賞にも不向きだ。
第68回行動美術展巡回展を鑑賞する人たち=大阪市立美術館で
 行動展の展示作品を具象と抽象で分けると抽象画に分類される作品が多い。趣意書に書かれている「個性的な芸術主張とその発表の自由を尊重」の精神が発揚されているのかもしれない。具象と抽象とに分けることができない作品も多々ある。デジタルのように1か0かに拘るのはよくないとも思う。

 行動美術協会に関心があるのは、設立メンバーの向井潤吉と小出卓二、創立翌年の46年に会友に推挙された下高原龍己の作品が手元に残されていることも関係している。現代の行動展の作品からは戦後すぐに活躍した作家の空気は感じ取れなかった。それが時代の変遷ということだろう・・・。

「改良型裁断機」を2年半使い続けて・・・その評価2013/10/23 21:00

 「改良型裁断機」という名称で販売されている中国製の裁断機「868 Model」を2011年3月から2年半もの間使い続けてきた。国産品に比べて価格は半値だが、1000冊以上裁断しても、故障も無く働いてくれている。

2011年3月の改良型裁断機についてのブログ記事(http://phototech.asablo.jp/blog/2011/03/27/5761765)と裁断機到着のブログ記事(http://phototech.asablo.jp/blog/2011/03/25/5758786

 頑丈だが重たく大きい。「改良型裁断機」1台で机を占有している。5000冊対応セットという名称で予備のカッター刃3枚付きを購入したが、800冊処理で刃の切れが鈍ってしまった。4枚の刃では3000冊程度しか処理できない。刃の値段も安いからまた追加購入すればよいか。
 今まで厚さ20ミリ程度の書籍しか裁断してこなかったが、今回、厚さ32ミリの本を思い切って切断してみた。B5サイズ厚さ32ミリの「MS-DOS 5 ブック」の背表紙部分をズバっと切落すことができた。35ミリまで切断可との宣伝表示に偽りはなかった。すごいと思う。
「改良型裁断機」で厚さ32ミリの本もバッサリ切れた

 商品は長期間使った後でこそ本当の評価ができるのではないか。刃を受け止める受け木の交換、カッター刃の交換、共に容易。本を押さえるのはレバーを倒すだけ、本の位置決めバーも簡単でしかも強固に止る。切断面が台形になるのではとの心配も押さえ方を工夫してほぼ問題なく使えている。但し、大きくて重いので業務用的な性格の商品だ。