世界遺産ポクロヴァ・ナ・ネルリ教会を見に行く(2) ― 2011/10/31 19:26
バガリュープスカヤ修道院を右手に見ながら主要道路7号線を歩いていく。200メートルぐらい歩いて修道院の敷地が終わった所で右折する。下り坂を降りて行く。左手に民家が並んでいる。郷愁を誘うロシアの民家建築。
私が懐かしさを感じるのは1960年代に札幌に住んでいたためだ。当時の札幌は北の果ての寂しい街で主要道路以外は未舗装の土の道だった。その道を挟んで建っていたトタン葺きの木造民家にはこんな感じも漂っていたなあ・・・ただ、こんなにカラフルに塗装した民家は「さっぽろ」には無かった。
どの家も窓枠回りに素敵な彫刻を施している。家の機能に何の役にも立たないことにこんなに努力を傾けているのはなぜだろうか。ロシア庶民の美意識か、伝統の尊重か。
私が懐かしさを感じるのは1960年代に札幌に住んでいたためだ。当時の札幌は北の果ての寂しい街で主要道路以外は未舗装の土の道だった。その道を挟んで建っていたトタン葺きの木造民家にはこんな感じも漂っていたなあ・・・ただ、こんなにカラフルに塗装した民家は「さっぽろ」には無かった。
どの家も窓枠回りに素敵な彫刻を施している。家の機能に何の役にも立たないことにこんなに努力を傾けているのはなぜだろうか。ロシア庶民の美意識か、伝統の尊重か。
緑色の塗装と共に青色の塗装も多い。
この家には「3」という番号が付いている。家屋番号は住所表示でもあるのだろう。
高低差10数メートルの坂を下り切ると鉄道線路に着く。そこは、無人のバガリューボヴァ駅でもある。鉄道線路を跨線橋の階段を上って下って越えて、線路に沿って東へ歩く。その後、線路からだんだん離れるように草原の中を道は続き、遠くにポクロヴァ・ナ・ネルリ教会が姿を見せる。平原にぽつんと建つ白亜の教会。
ポクロヴァ・ナ・ネルリ教会が世界遺産に登録されていることはこのブログをまとめていて初めて知った。現地の教会周辺では、世界遺産の表示はまったく見なかった。ウラジーミルのウスペンスキー大聖堂の周辺でも世界遺産の表示は見なかった。何よりもこれらの建物は遺跡や記念物ではなく、熱心な信者の人たちが祈りをささげる現役の宗教施設だからだろう。
世界遺産登録に対する熱狂的関心が満ちている日本と反対に、今回の旅で見た範囲であるが、ロシアでは世界遺産登録に対してまるで関心がないかのような印象を受けた。
教会の壁には、レリーフが刻まれている。一番上が旧約聖書に登場する竪琴を抱えるダビデ王、左右にワシとライオン。その下に女性の顔とライオン。このレリーフは建物の各面に刻まれている。
教会内には帽子を取って入りお布施をした。なおロシア正教の教会内を見学する際には女性は頭に布を被り、男性は帽子を取る。内部は大変暗く、熱心に祈る人がいて宗教色が色濃く立ち込めていた。
教会の裏庭には蜜蜂を飼育する箱がたくさん並んでいた。蜜蜂を飼育して花の蜜を集めている人は多いようだ。翌々日に訪れたスズダリで地元の人が集めた蜂蜜を買うことになる。
ポクロヴァ・ナ・ネルリ教会=Церковь Покрова на Нерли(ツェールカフィ・パクローヴァ・ナ・ニルリー)。その意味は「ネルリ川沿いの聖母教会」。Церковь(教会) Покров(聖母) на(沿いにある) Река Нерль(ニエールリ川)。
教会の裏をニエールリ川は流れているが蛇行が激しく、この写真の水面は元の川から切り離された三日月湖のようだ。なおニエールリ川は、ウラジーミルを流れていたクリアジマ川に注ぐ支流の一つである。
雨上がりの澄み切った空気感の中、午後4時、陽が西に少し傾き、微かにマゼンタ色が染み込んで来た。ポクロヴァ・ナ・ネルリ教会はその優美な姿を湖面に映している。まるでロシア絵画に古来描かれてきた名画世界を目の当たりにするような光景を感じていた。
教会からの帰り道、鉄道線路を渡るため跨線橋の上を通る。その高い場所から高台にそびえるバガリュープスカヤ修道院の姿が一望できた。1165年にポクロヴァ・ナ・ネルリ教会の建立を命じたのはパガリュープスキー公だが、修道院に公の名前が付けられているということは、修道院の建立者も公であろうか。
また坂を上ってバス停に向かう。途中、来る時撮影しなかった美しい民家を見つけて撮影。こちらには住居表示「4」が付いている。
本数の少ないバスが偶然、バス停に着くとその直後にやってきた。小さな幸運に感謝をする。このバスで再びウラジーミルに戻った。
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