デジスコの画質を検証する2006/02/12 12:16

デジスコ解像度テスト用の犬の縫いぐるみ
 フィールドスコープで遠くの小さな野鳥を大きく撮影できる“デジスコ”は、確かに魅力的な手段だが、被写体を画面に同じサイズで捉えたとすると、一眼レフデジカメ+超望遠写真レンズに比べて解像度はかなり低い。

 写真に詳しくない、本当の写真の解像度のすごさを知らない人に、デジスコで撮った写真を見せると「わーきれい!」と誉めてもらえるが、厳しい写真鑑賞眼を持った人をごまかせるレベルではない。

 1年以上かけてデジスコシステムも改善に努めてきたが、どういう組合せでどれだけの画質なのか系統立てて調べて見たいと思い立って準備を進めた。

 デジスコシステム(フィールドスコープ+接眼レンズ+デジカメ)の組合せとデジカメレンズの焦点距離で解像度はどうなるのかを確かめる実験だ。

 解像度に絞って調べるため、他の要素を排除する必要がある。まず、ぶれを徹底的に排除するため砂袋を準備した。ふるいでサイズを揃えた砂を10キロほどごみ袋に詰めた砂袋を用意した。スコープとカメラを砂袋に半分埋めた状態で撮影テストを実行した。

 被写体は、ドイツで作られたスズメサイズの犬の縫いぐるみを利用した。縫いぐるみの表面は非常に細かい毛が植毛されている。その毛が分離して再現されているかどうかに着目して解像度を判断した。

 縫いぐるみが画面一杯に写るように、デジカメのレンズ焦点距離を動かすのにあわせて被写体距離を調節した。この作業は随分時間を要した。

 テスト結果を5段階評価をした。一眼デジカメでの直接撮影の画質を5として、画像処理しなくても鑑賞に堪える画質(縫いぐるみの植毛の1本ずつをぎりぎり解像している画質)を4、植毛の1本ずつの表現があいまいになっている画質が3、画像処理でシャープネスを強く効かせて素人目をごまかせる画質が2、作品にできない画質が1、ぼけて評価の対象外の画質が0とした。

スコープ 接眼レンズ デジカメ 焦点距離 評価
EDⅢ 24XW E5900   7.8mm 4
EDⅢ 24XW E5900  14.9mm 3
EDⅢ 24XW E5900  23.4mm 2
EDⅢ 24XW C5060WZ  13.0mm 4
EDⅢ 24XW C5060WZ  22.9mm 3

EDⅢ 40XW E5900   7.8mm 4
EDⅢ 40XW E5900   14.9mm 1 AFが合いにくい
EDⅢ 40XW E5900   23.4mm 1 AFが合いにくい
(AFがたまたま合焦した場合は解像度評価は2~3になる)
(10.6mm以下の焦点距離ではスムーズにAFが合焦する)
EDⅢ 40XW C5060WZ 15.8mm 4
EDⅢ 40XW C5060WZ 16.5mm 4
EDⅢ 40XW C5060WZ 17.3mm 2 AFが合いにくい
EDⅢ 40XW C5060WZ 22.9mm 1 AFが合いにくい
(C5060WZは15.8mm以下でケラレが発生するので使えない)

 EDⅢと24倍接眼レンズの場合はズームレンズの焦点距離にかかわらずAFもスムーズに働き問題は少ない。

 EDⅢと40倍接眼レンズとの組合せでは、デジカメの望遠側でAFが合いにくくなる。AFが働き合焦すれば2以上の画質を確保できる。ピントが合わないことが最大の問題。
 E5900の場合、ピントが合わなくなる限界点が10.6mmで、このときの35mm換算合成F値はF7.C5060WZの場合は限界点が16.5mmで、F値はF11と1絞り暗い合成F値までAFが働く。
 E5900は広角側で、C5060WZは中焦点域で使えばAFが働く可能性が高い。それより望遠側を利用するとAFが正確に働かずピンぼけの確率が高い。

 1月に追加導入した口径82mmのED82についての試験結果はまた次回に。

ブラケットFSB-1周辺の改良2006/01/18 19:33

FSB-1周辺の各種改良点
 フィールドスコープの接眼レンズとデジカメE5900またはE7900とを接続するニコンビジョン製の部品がFSB-1で、簡単にデジスコシステムが完成するようになっている。フィールドスコープとデジカメをFSB-1で接続すると超望遠撮影が可能なデジスコシステム(ニコンビジョンではデジスコーピングと呼ぶ)が一応完成するが、さらに使いやすく、高性能な画質にするために色々手を加えている。

 1)先日書いたようにFSB-1内部の乱反射防止のためにデジカメ鏡筒の黒塗装と鏡筒内部に植毛布を貼ったのもクリアーな画質にするための手段だが、それ以外にも色々手を尽くしている。

 2)シャッターを切った際のブレを防ぐため、エアーレリーズを使っている。ゴムの球を握ると、内部の空気が圧縮されチューブ内を圧縮された空気が伝わり端子の棒を押し下げる。一般的なケーブルレリーズよりは手の動作がカメラに伝わりにくい。

 3)FSB-1は、デジカメE5900の三脚座にネジを締めて固定する仕様になっているが、下から一箇所で留めているので平行性の確保と光軸の一致の2点で多少信頼感が薄い。デジカメ底部をネジできつく締めた状態では最広角側で左上が多少暗くなる。フィールドスコープの光軸とデジカメの光軸が一致していない証拠だ。
 FSB-1の後部にデジカメを押し当てて見るとFSB-1の筒とデジカメ鏡筒の間に1mm程度の遊びがあり、上下左右に動かせる。両方の中心をぴったり合わせるためにとった対策はFSB-1の筒後方の内部にテープを貼り付けて両者のサイズをぴったり合わせることにした。筒後方はゴムになっている。ここに貼ったテープは写真関係でよく使われている通称パーマセルテープ(米国製)。無反射黒色の紙製ではがしても糊残りが無い。これを5ミリほどの幅に切って内部に5重に巻いた。1周の長さは直径×πで計算する。5重に巻くとぴったりデジカメの鏡筒基部が吸い付くサイズになる。
 三脚座をきつく締めるとせっかく中心を合わせたのに違った方向にひっぱられるので、落下防止目的だけのため、ゆるゆるにしておく。液晶ビューワDW-46のシリコンゴム輪がFSB-1とデジカメを垂直に押し付けているのも落下防止に役立っている。
 この簡単な対策で広角側でのケラレが特定の角に発生する現象はなくなった。光軸が一致したのか、周辺部で木の枝など細い棒状の被写体の周囲に発生していた色ずれも消えた。

 4)照準器に使っているビクセンのドットファインダーはダイヤルの回転で明るさ調節とスイッチを兼ねているが、スイッチを切らずに放置して電池をすぐ消耗させる。改造してスイッチ機能を外部に取り出す手段もあるが、ダイヤルの上部に0位置(電源OFF)を示す白い線を修正液で書いた。これだけでスイッチの切り忘れを防ぐ効果が上がった。

 5)FSB-1のレリーズ受け口近くに振動吸収材として有名な青色のソルボセインを貼ったが効果は未知数。

デジカメ用液晶フード固定枠を作る2006/01/14 22:02

液晶フード固定目的でアクリル角柱を液晶周りに貼る
 デジスコ用デジカメはE5900を使っていますが、ルーペ付き液晶フード「ケンコーデジタルウィンドウDW-46」が固定されていないので正位置からずれる可能性がありました。実際常にずれていました。

 固定用の枠を2mm角のアクリル角柱で作りました。E5900の液晶枠の上に4本のアクリル棒を両面テープで貼り付けました。DW-46の内寸とアクリル枠の外側の寸法がぴったりなので、高さが2mmでもしっかり食いつきまったくずれなくなりました。快適です。

 2mm角のアクリル角柱は1mが50円ほどです。両面テープはニトムズ社の強力多用途両面テープT283を使いました。これは15mm×10mで400円です。

デジカメの鏡筒を黒く塗装2006/01/14 17:10

塗装前と塗装後
 メインに使っているデジスコシステムは、フィールドスコープがEDⅢ、コンパクトデジカメがCoolpix5900ですが、E5900の鏡筒(レンズ部)は、金属光沢でピカピカに輝いています。デジスコにとって鏡筒の輝きは、甚だ都合が悪いのです。デジカメのレンズ鏡筒は接続アダプターFSB-1の中でフィールドスコープの接眼レンズと向かい合っている状態ですが、接眼レンズからの光束は、デジカメレンズ周囲の鏡筒部にも広く照射されます。金属光沢部を照らした光はFSB-1の中で反射を繰り返します。写真画像の暗部に乱反射した光があたり、結果的にコントラストの低い眠い調子の画像になってしまいます。

 今回、FSB-1内部のフレア防止のために取った対策は
(1)FSB-1内側に植毛布を貼る。植毛布は、カメラ修理用品として手に入ります。昔のカメラの内部には反射防止目的で必ず貼り付けられていました。
(2)デジカメE5900のレンズ鏡筒を無反射黒塗料で塗装する。カメラに塗装すると転売が不可能になってしまいますが、使い尽くす覚悟で踏み切りました。模型用の塗装用品が手ごろです。

 その結果は、驚くほどコントラストが高くクリアーで彩度も高い画像に変わり驚きました。デジスコシステムを1台のカメラと考えたら当然しなければならない対策です。

デジスコはなぜ小さな対物レンズでF値が大きいの?2005/11/21 22:41

 ----先の話の続き----
 35mmカメラで20m遠方の20cmの鳥を対角線いっぱいに写すには4300mmのレンズが必要だが、このとき、F値11を確保したければ対物レンズの直径は4300÷11=390mm必要になる。商品としてありえない大きさだ。一方、デジスコでは、900÷11=82mmとなり、ニコンのフィールドスコープED82を使えば実現できる。35mmカメラに比べて撮像素子が小さいことが幸いしている。

 デジスコの利点は、フィールドスコープと組み合わせるコンパクトデジカメの撮像素子の小ささがよりどころになっているのだが、小さい撮像素子は大型の撮像素子に比べて画質の低下と感度の低下というマイナス面を持っており、その利点と欠点のバランスで、いかに利点の比重を高めるかがポイントとなる。撮像素子が小さくても高画質で高感度で使えるデジカメの選択が重要である。

 フィールドスコープとデジカメという二つの光学システムを勝手に組み合わせるデジスコでは、光軸のずれ以外にフレア処理など問題が多い。最初からフィールドカメラとして、対物レンズ82mmで焦点距離300mm~900mmズーム、F3.6~F11、撮像素子1/1.8のフィールドカメラが存在したら撮影に専念できる一番使い勝手が良いものになるだろう。

デジスコはなぜ小さなレンズで遠くの物が大きく写せるの?2005/11/06 22:54

 フィールドスコープにコンパクトデジタルカメラを組み合わせて鳥などを超望遠撮影をする“デジスコ”を始めて1年が経過した。最初はひどい画質の写真しか撮れなかったが、最近は人に見せられる程度の写真にはなってきた。画質向上のポイントは、撮影技術が上がったのではなく、道具建てが整ってきたからだ。道具が悪ければ撮影のプロでもどうにもならない世界だ。

 なぜ、“デジスコ”は、口径の小さなフィールドスコープを使って100メートル先の小さな鳥を画面いっぱいに写すことができるのかをもう一度検証してみたい。

 20メートル先の20センチの鳥を画面の対角線いっぱいに写したいとする。

 35mmカメラでは画面(フィルム面)の対角線が43mmなのでレンズの焦点距離は4300mmが必要になる。計算は20m÷0.2m×43mm。
 コンパクトデジタルカメラ(E5900や5060WZのCCDサイズは1/1.8で、その対角線は9mm)では、レンズの焦点距離が900mmでよい。デジスコに当てはめると900mmは40倍接眼レンズ使用でデジカメの焦点距離が22.5mmになる。ちょうど3倍ズームのE5900や4倍ズームの5060WZを最望遠側にした状態だ。

 35mm一眼レフに4300mmの超望遠レンズを用意するというのはとても無理な話だ。かりに特注で作れても余りにも高価で余りにも大きくて実用にはならない。デジスコに当てはめるとフィールドスコープとコンパクトデジカメを組み合わせるだけだから、とても安価で、サイズも小さく、持ち運びは楽だ。

 レンズの焦点距離が短くてもなぜ大きく写せるか? その理由は、いま計算したように撮像素子が小さいからだ。35mmフィルムに比べて撮像素子がぐっと小さい事がこのような利点を生み出す原因だ。

 もう一度、話を整理すると、35mmカメラでは対角線が43mmなので4300mmレンズが必要。APS-Cサイズのデジカメでは対角線が28.4mmなので2840mmレンズが必要。オリンパスの4/3システムでは対角線が22.3mmなので2230mmレンズが必要だが1/1.8デジカメでは対角線が9mmなので900mmでよい。
 APS-C一眼デジカメとフィールドスコープとの組み合わせでは、一眼デジカメに70mmレンズを使えば40倍接眼と組合せ2800mmになる。またオリンパスの4/3では55mmレンズを使えば同様に撮影できる。

 ここまでの考察では、コンパクトデジカメとフィールドスコープの組合せは画期的な超望遠撮影を実現する最高のシステムということになるが、35mmフィルムやAPS-CサイズのCCDと、対角線サイズがAPS-Cの1/3しかない1/1.8サイズのCCDを使って同じ画質の画像が撮れれば良いのだが、そうはいかない!基本感度がISO50対ISO200、2絞り違う。

 600万画素のAPS-CサイズCCDは画素サイズが7.8μmあるが、E5900に使われている対角線9mmの500万画素CCDは画素サイズが2.775μmしかない。学会の常識として画素サイズの限界は3μmとなっていたのが、現実はすでにそれを下回っている。画素が光子を取り込む効率も低下しS/N比も低下し基本ISO感度も64になっている。微小サイズ画素による画質低下をカバーしようと画像処理技術も進歩しているがカバーしきれているとは言えない。

 デジスコで高画質を目指すなら、最新の画像処理技術を搭載した最新のコンパクトデジカメへの更新が必要だ。その際、多画素を追いかけた製品は避けたほうがよい。

COOLPIX5900のAFエリア選択を比べる2005/10/17 17:00

 デジスコ向きとされるニコンのCOOLPIX5900だが、デジスコで使った場合、ずいぶんピンぼけ写真を作ってきた。被写体の野鳥は必ずしも写角の中央に配置しないので、もっぱらAFエリア選択で「マニュアル」を使ってきた。「マニュアル」を選んでおくと、画面内で自由にAFターゲットを移動できて都合よかった。E5900最大の利点とも思っていた。

 ニコンの子会社のニコンビジョン社のホームページに、最近、次のように書かれているのを見つけた。
 『クールピクス7900でデジスコーピングを行う場合は、AFエリア選択を「オート」または「中央」にし、ズームは広角側でのご使用をおすすめします。
なお、「オート」で希望するエリア以外にピントが合ってしまう場合や、高倍率接眼レンズなどで「オート」でも「中央」でもAFランプが点灯しない場合は、FSB-1Aのケーブルレリーズを半押しにし、AFが動かない状態で、クールピクスの液晶モニターを見ながら再度フィールドスコープのピントリングでピントを合わせる撮影方法をおすすめします。』

 真偽を確かめるため実験をした。庭の木の上にムクドリサイズの縫いぐるみ犬(ドイツ・シュタイフ社のHexie)を鳥の代わりに置いて、AFエリア選択を「オート」「中央」「マニュアル」各5回撮影した。1回毎にフィールドスコープはピントリンクを動かし合わせ直している。天候は曇り。さて、成績は・・・・・

 24XW接眼レンズの場合
望遠端(23.4mm)では
 「オート」5コマ中5コマ合焦した
 「中央」5コマ中5コマ合焦した
 「マニュアル」5コマ中1コマのみ合焦した
広角側(10.6mm=51mm相当)では
 「オート」5コマ中5コマ合焦した
 「中央」5コマ中5コマ合焦した
 「マニュアル」5コマ中5コマ合焦した

 24XW接眼レンズの場合、広角側の10.6mmまでは「マニュアル」でも合焦したが、それより望遠側では「マニュアル」使用は無理だ。因みに10.6mmのとき合成F値は4.24である。

 40XW接眼レンズの場合
望遠端(23.4mm)では
 「オート」5コマ中5コマ合焦した
 「中央」5コマ中4コマ合焦した
 「マニュアル」5コマ中5コマ合焦した
広角側(8.1mm=41mm相当)では
 「オート」5コマ中5コマ合焦した
 「中央」5コマ中3コマ合焦した
 「マニュアル」5コマ中3コマ合焦した

 40XW接眼レンズの場合、広角側の8.1mmまでは、緑色のAF合焦ランプが点灯するが、それ以上の望遠側では赤色ランプが消えない。赤色ランプのままシャッター半押し状態でフィールドスコープのピントリングを回して眼で液晶画面を見ながら合わせてもピントが合う場合もあるが信頼性は低い。
 「オート」と「中央」の比較では、「オート」の方が成績が良い。
 8.1mmのときの合成F値は5.4である。

 24XWと40XW接眼レンズでの実験から合成F値がF5辺りにAFエリア選択「マニュアル」の使用限界点があるようだ。
 今後は残念だがAFエリア選択メニューでは「マニュアル」を止めて「オート」を使うことにしよう。
 今回併せて測光方式についても実験した。AFエリア選択で「オート」を選んだ場合測光方式は「AFスポット」がベストだった。

 この結果も踏まえて、私がデジスコで選んだ設定は
■画像モード
  画質 NORMAL
  画像サイズ 5M
■WBホワイトバランス A-WB、太陽光、曇天の中から選択
■測光方式 AFスポット
■連写 連写(各コマ毎にAFが働かないので連写設定でも単車的に使う)
■BSS OFF
■ピクチャーカラー 標準カラー
■階調補正 オート
■輪郭強調 オート(以前は画像加工を前提にOFFや弱にしていた)
■ISO感度設定 64、100、200、400の中から選択(オートに設定しても、屋外では64以外に動かないので手動で選びます。オートの場合、暗い屋内でやっと200に上がる)
■ブラケティング OFF(露光よりタイミングの方が大事だから使いません)
■彩度調整 標準
■AFエリア選択 オート(最も合焦しやすいが緑ランプが点いても望む場所にAFエリアマークが位置しているか注意して確認すること)
■AF-MODE S-AF(C-AFは撮影と関係なくレンズを常に動かし電池を消費し、シャッターボタンに触れると合焦動作を止めてしまう役立たずなので使いません)
■NRノイズ除去 自動ON(デジスコ環境下でNRが働くことは無さそうだが念のため自動ONに設定)

以上の設定で、雨の降りそうな曇天下、庭の周辺を忙しく飛び回るヒヨドリを狙った。40XW接眼レンズを使いE5900を最望遠側で使ったが、AFエリア選択「オート」が効を奏してピントはうまく合っていた!

今朝の鳥はヒヨドリ2005/10/14 10:03

ケーブルに止まったヒヨドリ
 朝、高く響く鳥の鳴き声で目が覚めた。この付近で一番高いアンテナの上で鳴いている。ヒヨドリのようだ。記憶にある鳴き声とは違っていた。縄張りを主張しているのか。季節の変わり目を感じる。

 デジスコを持ち出して狙ってみた。カメラはCOOLPIX5900。AF専門のカメラだが過去の経験ではピンぼけのコマが多い。沢山写してピントの合ったコマを選ぶやり方を続けてきた。歩留まりが悪かった。

 最近、フィールドスコープを発売しているニコンビジョン社のHPを見ると、デジスコにCOOLPIX7900を使う場合は、AFエリア選択で「オート」または「中央」に設定するように、また広角側での使用を勧めている。7900と5900は画素数以外は同一のカメラなので、AFエリア選択での「マニュアル」使用を止めてオートを試してみた。

 「マニュアル」より「オート」の方がピントの大外れは少ないようだ。ただ、ぴったり鳥の眼にピントが合っているとは言えない。デジカメの広角側では合成F値が明るいが望遠側では合成F値が相当暗い。コンパクトデジカメにとってオートフォーカスを正確に動作させるのが難しいのは当然だろう。(今朝の撮影は40(接眼レンズ倍率)×7.8(カメラの焦点距離)÷60(フィールドスコープ対物レンズの直径)=5.2(合成F値)で条件が良かったが、望遠側で使うと合成F値が15.6にもなってしまいカメラには厳しいことになる。

 条件を揃えて、E5900のAFエリア選択で「マニュアル」「中央」「オート」での合焦確率を比べてみたい。

フィールドスコープに一眼レフを接続2005/10/04 22:52

フィールドスコープと一眼デジカメを接続
 5月22日のブログに「デジスコ風に一眼レフでも出来ないかと、ボディに接写レンズや引き伸ばしレンズなどを付けて試したがシャープな像は結ばなかった。オリンパスの一眼レフE-300はCCDが17.3mm×13.0mmと小さく、コンパクトデジカメに近いのでデジスコとして使えないか?一眼レフはファインダーで被写体が追えるので、液晶画面で被写体を追うコンパクトカメラとは異なり、使い勝手が格段と向上する。コンパクトデジカメでは連写といってもその間、像が消失し、ピントも最初の駒で一度合わせたきり。被写体が動く野鳥撮影では使い勝手が悪すぎる。 一眼レフを使ったデジスコは将来の研究課題にしておこう」と書いたが・・・長らくそのままだった。

 偶然、同じようなことを考えておられるデジスコマニアのページに、ステップアップリングで一眼レフのレンズとTA3(ターボアダプター社販売のカプラー)を接続して野鳥撮影を楽しんでいる話が出ていた。全部が手元にあるパーツなので組み立ててみると、なかなかシャープな像を結ぶことがわかった。手持ちのニッコールレンズ24mmF2.8、50mmF1.4、135mmF3.5の3本で確かめたが、どれもがそこそこの画質だった。24mmはAFだが、50mmと135mmは30年以上前に買った手動レンズだ。

 一眼レフがレンズ込みで1Kg以上なので、支えなしにフィールドスコープの接眼レンズに取り付けるのは無茶とは思ったが一度だけやってみた。D100のC-AFモードで24mmAFレンズを使うとピピッと反応して合焦した。便利だが、カメラの重みでしなっているのがわかる。継続使用は無理だ。

 一眼レフカメラを支えるためにコーワのユニバーサルマウントシステムTSN-DA3を持ち出した。フィールドスコープとカメラをそれぞれ下から支えてくれるのでカメラレンズやフィールドスコープ接眼レンズが曲がる心配は無くなったが、カメラのAF機能は使えない。カメラはAF動作でレンズが伸縮するが、カメラとスコープが固定されているのでレンズを無理に伸縮させるAF操作をするとカメラやレンズが故障する。

 カメラのAF機能を使わず、フィールドスコープのピントリングを手で回して焦点を合わせることになる。一眼レフのファインダーを覗いての手動ピント合わせはそれほど難しいことではないがAFより不便なのは間違いない。

 24mmレンズ使用で合成焦点距離は36mm×40倍=1440mm相当。同様に50mmレンズは3000mm、135mmは8100mm。デジスコとしては50mmレンズあたりが使いやすそうだ。レンズの焦点距離が長くなると合成F値がどんどん暗くなりピントを合わせずらくなるのが難点。

 11月にオリンパスの一眼レフデジカメの新製品E-500が発売予定。世界最軽量で、ノイズ低減化が進んだようで、デジスコ一眼レフとして期待できそうだ。

ボルネオ島でデジスコ2005/09/23 23:04

カラードキングフィッシャー
 8ヶ月に渡ってフィールドスコープとコンパクトデジカメを組み合わせて超望遠撮影をする“デジスコ”に取り組んできた。システムも完成形に近づいてきたところで、ボルネオ島にデジスコによる野鳥撮影に出かけた。

 ボルネオ島の中で一番行き易い、最近売り出し中のリゾート、マレーシア・サバ州の州都コタキナバル周辺での撮影である。安易にもほとんどホテルの敷地内、しかも建物の中から撮影した。

 安易すぎるように思われるが、ホテルの上層階からのデジスコ撮影は利点が多い。野鳥は木の上に止まっているが、下から見上げると、特徴の無い鳥のお腹を写すことになるし、背景が曇り空の場合、強い逆光になり、綺麗な写真は無理だ。上層階から撮ると、鳥を水平か見下ろす角度で撮影でき、特徴のある背中や真横の写真が、カラー発色も鮮やかに撮れる。

 ベランダで香取線香を焚いてお茶を飲みながらの撮影も優雅だし、6階の渡り廊下から三脚を構えての撮影もスコールに降られる心配もなく、蚊も寄ってこないし長時間粘っていても快適だった。このホテルは、裏山が自然保護区になっており、森の表層に現れた野鳥やサルやリスをデジスコで撮影するには、最上階の渡り廊下が好都合だった。

 炎天下、デジスコ装置を担いで、ホテル周辺のマングローブ林を汗をかきかき歩き回ったが、成果は無かった。電線に止まったツバメを撮ったが下から見上げると白いお腹しか写らず野鳥写真としては失敗作だった。高い位置から撮らないとだめだと再確認する結果になった。

 使用したデジスコ装置は
1.フィールドスコープがニコンのEDⅢ
2.接眼レンズが24XW/30XW DS と40XW/50XW DSの2本
3.ブラケットがニコンのFSB-1
4.デジカメがニコンCOOLPIX5900
5.SDメモリーカード(512MB、20MB/Sの高速タイプ)
6.デジカメ用電池EN-EL5の予備
7.ビクセンスポットファインダー
8.DOS-FSB1 BASE
9.液晶フードDW-46
10.スリック製雲台フィールドバランス
11.ベルボン製カーボン三脚シェルパPro631EL

 今回は沢山の野鳥撮影に“成功”したが、その中の一枚を参考に添付します。英文の図鑑を調べるとCollared Kingfisher(和名ナンヨウショウビン)。撮影データはカメラのF値が4.9、シャッター速度が1/6秒、ISO400、焦点距離23.4mm(35mmカメラ換算113mm)。フィールドスコープとの合成焦点距離(35mmカメラ換算)が4520mmという超望遠で、しかも1/6秒にもかかわらずブレていないが、被写体距離が遠すぎ、大幅にトリミングしている。