ロシアの美術工芸品・ミニアチューラについて ― 2013/07/18 18:31
ロシアの伝統美術工芸品にミニアチューラというものがある。
その多くが油性絵の具で小箱に細密画を描いていた形状をしている。伝統的制作地としてはモスクワ周辺の4つの村に限定されている。パレフ村、ムスチョーラ村、フェドスキノ村、ホールイ村である。
パレフ、ムスチョーラ、ホールイは宗教画イコンの制作地であったが、革命後の宗教政策でイコンの作成が困難になり、その技術を生かして細密画小箱の製造に傾斜していった。フェドスキノだけは出発点が18世紀末にドイツのニス塗り工芸品技術を導入して最初から細密画小箱を製作し、絵のテーマも宗教画ではなかったので革命後の政府と軋轢はなかった。
絵の技法もパレフ、ムスチョーラ、ホールイがテンペラ技法なのに対して、フェドスキノは油彩技法と異なる。
絵のテーマもパレフ、ムスチョーラ、ホールイがロシアの古代伝説・民話に依拠したものが多いのに対して、フェドスキノは世俗的で自由度が高い。
絵を描く土台になる小箱は本来パピエ・マシェー(пааье-маше)と呼ばれる技法で作られる。言葉の響きからするとフランスからもたらされた技法であろう。研究社の露和辞典を見ると「紙に糊・石膏・チョークなどをまぜて作った張子」と説明されているが、丁寧に作られた箱は軽く丈夫でくるいが出ないそうだ。
1987年にモスクワで購入したフェドスキノのミニアチューラである。作品の題名は「北の歌」(Северная песня)である。 ロシアの小さな村で娘たちが輪になって踊っている。傍らでは若者たちがバラライカとアコーデオンで伴奏を奏でている。日が傾き、逆光の暗がりが広がる中、娘たちの衣装がきらめく---この金箔を巧みに使った技法に強く引かれて購入した。 当時はロシア共和国地場産業省工芸品玩具課の管轄で商品価値を維持するための管理が行われていたので4つの産地に限定されていたミニアチュールも、今では何でもありで模造品も多いらしい。本物は非常に高価である。産地まで出向いて作家から直接購入するのが本物を入手する確実な手段だろう。
パレフ、ムスチョーラ、ホールイは宗教画イコンの制作地であったが、革命後の宗教政策でイコンの作成が困難になり、その技術を生かして細密画小箱の製造に傾斜していった。フェドスキノだけは出発点が18世紀末にドイツのニス塗り工芸品技術を導入して最初から細密画小箱を製作し、絵のテーマも宗教画ではなかったので革命後の政府と軋轢はなかった。
絵の技法もパレフ、ムスチョーラ、ホールイがテンペラ技法なのに対して、フェドスキノは油彩技法と異なる。
絵のテーマもパレフ、ムスチョーラ、ホールイがロシアの古代伝説・民話に依拠したものが多いのに対して、フェドスキノは世俗的で自由度が高い。
絵を描く土台になる小箱は本来パピエ・マシェー(пааье-маше)と呼ばれる技法で作られる。言葉の響きからするとフランスからもたらされた技法であろう。研究社の露和辞典を見ると「紙に糊・石膏・チョークなどをまぜて作った張子」と説明されているが、丁寧に作られた箱は軽く丈夫でくるいが出ないそうだ。
1987年にモスクワで購入したフェドスキノのミニアチューラである。作品の題名は「北の歌」(Северная песня)である。 ロシアの小さな村で娘たちが輪になって踊っている。傍らでは若者たちがバラライカとアコーデオンで伴奏を奏でている。日が傾き、逆光の暗がりが広がる中、娘たちの衣装がきらめく---この金箔を巧みに使った技法に強く引かれて購入した。 当時はロシア共和国地場産業省工芸品玩具課の管轄で商品価値を維持するための管理が行われていたので4つの産地に限定されていたミニアチュールも、今では何でもありで模造品も多いらしい。本物は非常に高価である。産地まで出向いて作家から直接購入するのが本物を入手する確実な手段だろう。
吉田秋雄ガラス作品展で酒器を購入 ― 2013/07/30 23:00
またまた、あべのハルカス近鉄本店11階のアートギャラリーで開かれていた「吉田秋雄 ガラス作品展」で酒器になりそうなガラス工芸作品を3点購入しました。
工芸作家の個展を拝見するとき、真っ先に考えることは、酒器として使ったときの姿を客観的に思い浮かべることです。その姿を思い描いてその器にどんな酒を盛ったら器を生かせるのか、相応しいのかと頭を回転させています。
吉田さんの作品は、ガラスに金(ゴールド)を取り込んだ器が目立ちます。金の薄板に融けたガラスを回転しながら押し当てるとガラスに金が取り込まれていく技法のようですが、見たわけではないのでどのような手法なのかイメージが正確には掴めません。
このガラスとゴールドの取り合わせが気に入りました。美しいと思いました。日本酒を飲む器として購入したのが写真のガラス器です。冷酒用と考えています。
徳利をイメージした器1点とぐい飲みをイメージした器2点を購入しました。徳利は3つのサイズの中から一番小さいものを選びました。酒豪だった私も今ではお猪口に一、二杯しか飲まないからです。容積を測ると100ccです。一方、ぐい飲みは80ccも入ります。徳利とぐい飲みのバランスが悪いです。このことは購入時に判っていたのですが小さなお猪口サイズの器がなかったのでやむなくの選択でした。
この酒器に入れる酒は無色透明の液体でなければ、底の金が見えなくなり作品の良さがまったく生かされません。無色透明の中でも度数13~15の日本酒が向いています。25度の焼酎、40度のウォッカでは強すぎます。ウォッカを80ccもぐい飲みしたら食道を焼いてしまいます。
会場に作者の吉田秋雄さんが居られました。展示作品といっしょに吉田さんの写真を撮らせていただきました。工芸作家は作務衣を着ておられるような固定観念を持っていたので、吉田さんの背広姿に小さな驚きを感じました。吉田さんは2000年に倉敷芸術科学大学芸術学部工芸学科を卒業され、神戸を拠点に活躍されています。
工芸作家の個展を拝見するとき、真っ先に考えることは、酒器として使ったときの姿を客観的に思い浮かべることです。その姿を思い描いてその器にどんな酒を盛ったら器を生かせるのか、相応しいのかと頭を回転させています。
吉田さんの作品は、ガラスに金(ゴールド)を取り込んだ器が目立ちます。金の薄板に融けたガラスを回転しながら押し当てるとガラスに金が取り込まれていく技法のようですが、見たわけではないのでどのような手法なのかイメージが正確には掴めません。
このガラスとゴールドの取り合わせが気に入りました。美しいと思いました。日本酒を飲む器として購入したのが写真のガラス器です。冷酒用と考えています。
徳利をイメージした器1点とぐい飲みをイメージした器2点を購入しました。徳利は3つのサイズの中から一番小さいものを選びました。酒豪だった私も今ではお猪口に一、二杯しか飲まないからです。容積を測ると100ccです。一方、ぐい飲みは80ccも入ります。徳利とぐい飲みのバランスが悪いです。このことは購入時に判っていたのですが小さなお猪口サイズの器がなかったのでやむなくの選択でした。
この酒器に入れる酒は無色透明の液体でなければ、底の金が見えなくなり作品の良さがまったく生かされません。無色透明の中でも度数13~15の日本酒が向いています。25度の焼酎、40度のウォッカでは強すぎます。ウォッカを80ccもぐい飲みしたら食道を焼いてしまいます。
会場に作者の吉田秋雄さんが居られました。展示作品といっしょに吉田さんの写真を撮らせていただきました。工芸作家は作務衣を着ておられるような固定観念を持っていたので、吉田さんの背広姿に小さな驚きを感じました。吉田さんは2000年に倉敷芸術科学大学芸術学部工芸学科を卒業され、神戸を拠点に活躍されています。

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