陶芸家・阪井七(なお)さんの個展で信楽焼きのぐい飲みを購入2013/06/27 14:10

 あべのハルカス近鉄本店11階のギャラリーで陶芸家・阪井七(なお)さんの個展が開かれていました。中を覘いて見ました。荒い緋色の肌の一部が緑変した「ぐい飲み」に目が引き付けられました。信楽焼き独特の薄い赤茶色のざらついた陶器の肌と一部が炎の中で様々に変化した景色が安らぎを感じさせる作品です。

 許可を得て同型の3点を触らせて頂きました。手触りや様々な角度から景色を確認して、一番しっくりと感じた1点を選んで購入しました。持ち帰り、水を張った鍋で1時間煮沸して自然に冷ましました。釉薬の掛かっていない陶器は購入後、お湯または、米のとぎ汁で煮沸した方がよいと記憶しています。使用前には毎回水を吸わせたほうが器に入れる成分が(ぐい飲みの場合は清酒が)土の隙間に入り込むのを防ぐために役立つそうです。

 ぐい飲みの底には灰が掛かった部分が緑色と金色にきらきら輝いています。清酒を注ぐとぎらつきが消えて落ち着いた色が底に現れました。池の底に月が映っているようにも見えます。
阪井七(なお)さん作陶の信楽焼きぐい飲み 阪井七(なお)さん作陶の信楽焼きぐい飲み

 ぐい飲みの表面が本来の緋色(火色)から濃い赤茶色、茶緑色と複雑に変化しているのは、薪が燃えて出来た灰が片側からのみ降り掛かり、更に高温で溶けて自然釉となったためです。反対側の飲み口にも自然釉が掛かっています。
阪井七(なお)さん作陶の信楽焼きぐい飲み 阪井七(なお)さん作陶の信楽焼きぐい飲み
 陶芸は土と炎の芸術とも言われます。重労働も伴うでしょうから筋肉逞しい大柄の人を想像していたら、会場に居られた作者は小柄で華奢な感じすらする人でした。
 購入した作品について詳しく説明していただきました。信楽に構えた穴窯で焼成しておられるそうです。穴窯は前室と後室から成り、炊き口から炎が順番に伝わって行きます。後室から追い炊きも出来る構造です。炊き口の薪が燃えて灰ができますが、この灰が穴窯内の作品に振りかかり更に高温で溶けて自然釉になります。赤茶色の地肌に白い斑点が目に付きますが、これは土に含まれていた長石がそのまま残ったものです。
 ぐい飲みの下部にへらで削ったような切れ込みがありますが、これはまず底を作りその上にひも状にした粘土を巻き上げて行く過程で底と上部とのつなぎ目を残して景色にしたのです。上部はろくろを使ってある程度滑らかに仕上げていますが、少しひも作りの痕跡が残っていてこれも味わいになっています。

最後に阪井七(なお)さんにお願いして作品と共に写真に入って頂きました。
陶芸家・阪井七(なお)さんの個展で、作者と作品
 陶芸について何の知識も持ち合わせていませんので、作者からお聞きした説明を誤解してここに表現している恐れがあります。その際はお許し下さい。これを機会に勉強していきたいと思います。