「震災がれき」は高台築く貴重な資源2012/03/20 23:47

 「震災がれき」の焼却・埋め立て処理が進まないから復興が進まない!全国の自治体は「震災がれき」を引き受けるべきだ! とだれかが音頭を取って大合唱。

 今回の大災害は専ら巨大津波に海岸近接地域が飲み込まれたためだが、生活のためには海岸近くの利便性の高い土地へ人々が集まり生活圏を築くのも当然の成り行き。巨大津波の記憶が新しい間は海岸から離れた高所移転にも意見が集まるが、半世紀も経つと生産基盤の海辺へ生活拠点も移動していくのは歴史の証明しているところ。
 一世紀後も人々が、安心と利便性を兼ね備え、仕事と暮らしを両立させるためには、海辺から離れた高所移転ではなく、海辺に高台を造り出し、その上に生産基盤も住環境も共に作ることであろう。
 海辺に20mの高台を造り出すために必要な土砂や石材は途方もない量になる。一方、海辺近くには津波被害の結果生み出された「震災がれき」が大量にある。これを使わない手はないだろう。「震災がれき」を全部使っても、全ての生産基盤や生活拠点を再建するための20m以上の高台を造るにはとても足りないぐらい。
 「震災がれき」を遠方へ膨大な輸送経費を使って運び、更に焼却で地球温暖化に拍車をかける。これほど貧困な発想をだれが推進しているのだろうか。

 「震災がれき」と呼んでいるが、これは貴重な資源である。やっと、そのことを政府に気づかせようと行動してくれる人が出てきた。
 朝日新聞によると『野田佳彦首相は20日、都内のホテルで細川護熙元首相と会談し、東日本大震災の被災地のがれき処理について提言を受けた。細川氏は、がれきと土砂で造った高さ20~30メートルの高台に木の苗を植えて森にするプロジェクトを進言。野田首相は前向きに進める意向を示したという。』 さらに細川元首相は『がれきの再利用は、環境省がブレーキをかけて前に進まない。国家プロジェクトとして総理から号令をかけて欲しい』と述べた。『横浜国立大学の宮脇昭名誉教授も同席した』と同紙。

 宮脇昭氏は森林生態学者で、古来から日本列島に生育する植生を取り戻すことこそが災害から国土と人々を守るかなめと唱え長年実践してこられた行動を伴う研究者。「震災がれき」を含む土砂で高台を築き日本列島本来の樹木を育てることを提唱している。