ロシアの古都スーズダリを歩く(3)2011/11/13 16:14

 タルゴーヴァヤ広場Торговая плошадьを後にして、レーニン通りул. Ленинаを歩いて北へ向かう。レーニン通りは車道の両側に植えられた並木が黄色く色づき始めている。

 まずЛазаревская и Антипьевская Церкови聖ラーザリ・聖アンチープ教会が目に飛び込んでくる。ロシア正教の建築物について知るために参照しているネット上のサイト「НАРОДНЫЙ КАТАЛОГ ПРАВОСЛАВНОЙ АРХИТЕКТУРЫ ://sobory.ru」(正教建築の国民的目録)では、Ансамбль Лазаревской и Антипьевской церквей 建築アンサンブルと表現している。また教会としては非活動状態、建設は1667年から1745年にかけて。

 右側の多数の葱坊主型ドームを有する建物単独ではЦерковь Лазаря Четверодневного 無理に訳せば「4日間のラーザリの教会」で1667年の建設。スーズダリ市の案内板の表示では簡単にЛазаревская церковь ラーザリフスカヤ教会とされている。
 左側の鐘楼を伴う葱坊主1個の建物はЦерковь Антипы, епископа Пергамского 。こちらも訳せば「アンチープおよびペルガムスキー主教の教会」で1745年の建築。案内板の表記ではАнтипьевская церковь アンチーピエフスカヤ教会とされる。
30日、アンチピエーフスカヤ教会

 更にレーニン通りを北へ歩いていく。目を引くしゃれたカフェを見つけた。店の名は「ХАРЧЕВНЯ(ハルチエーヴニャ)」今は廃れた昔のロシア語で「旅籠、一膳飯屋、安宿」を意味する言葉」。廃語を使ってロシア人の郷愁を誘っているのだろう。
 夕方、お茶にしようと再度戻ったら満席だった。残念!もうすでに食事時で客たちは料理をほおばっていた。
 いま、ブログ記事をまとめながら「地球の歩き方ロシア‘10~‘11」を見たらスーズダリ唯一のレストラン紹介にこの店を取り上げていた。「雰囲気の良い小さなカフェ。ロシア料理が専門で、スープや肉料理、魚料理などの料理が安くておいしい。」とのコメント。
30日、おしゃれなカフェ

 午後3時半、前方から学校帰りの子どもたちが歩いてくる。連写した中の1コマ。背中の通学かばんは、ロシアでもランドセルと呼ぶらしい(普通、背負いかばんはранецだが)。ロシアの学校は11年制なので小学生という言い方はできないが、このこどもたちは11年制学校の初等科クラスだろう。
30日、学校帰りの子どもたち

 更に北へ歩いてリザパラジェーンスキー修道院 Ризоположенский монастырьの南口が見えてきた。この三角帽子の塔が二つくっついた門が「聖なる門 Святые ворота」と呼ばれる。右側のピンクの建物は無名の小礼拝堂である。
 正式にはРизоположенский женский монастырьリザパラジェーンスキー女子修道院というらしい。
30日、リザパラジェーンスキー修道院の聖なる門

 修道院内に入る。この赤レンガ積みの建物は19世紀に僧房棟として建てられた。今、民間企業が借り受けてホテルとカフェとして活用している。
 いま、「地球の歩き方ロシア‘10~‘11」を見ていて、スーズダリのホテル紹介の中にリザパラジェーンスカヤ・ホテルとして取り上げられているのに気づいた。「リザパラジェーンスキー修道院の敷地内にあるホテル。修道院付属の古い建物だが、内部は改装されている。」とコメントされている。
リザパラジェーンスキー修道院内のホテル&カフェ

 トイレを借りたくてリザパラジェーンスカエ・カフェРизозоложенское кафеに入る。5度前後の外気温に冷やされていたカメラを急に暖かい室内に持ち込んだのでレンズが一気に曇ってしまった。注文したコーヒーを撮影すると霧がかかったような写真になった。砂糖をたっぷり入れるのがロシア風である。кофеを注文すると、店の女性にчёрный?(黒いの?)と聞かれる。ブラックか?と聞いている。да(ええ)と答えるとミルク無しで出てくる。
 テーブル横の窓の外、庭越しに白いリザパラジェーンスキー聖堂が建っている。この白い窓枠も中々おしゃれだ。花活け(生け花?)が白い窓枠を引き立てている。 
リザパラジェーンスキー修道院内のカフェでコーヒーを注文

 修道院内の鐘楼Колокольняである。ナポレオン戦争勝利を記念して1813年~1819年にかけて建てられた。スーズダリで最も高い72mの高さを誇る。こちらも足場が組まれて修復工事中のようだ。
リザパラジェーンスキー修道院の鐘楼

 リザパラジェーンスキー修道院内の聖堂である。Собор Положения риз Божьей Материが正式名称らしいが辞書を引いても訳すのが難しい。Божая Матьは神の母=生神女(聖母マリア)で、ризはризаの複数生格で、聖職者の法衣または一般に衣服の意味。生神女の衣の所在する聖堂といったところだろうか。1560年の建築であり、修道院内で一番古い建物である。
リザパラジェーンスキー聖堂

 修道院は赤レンガの塀で囲まれているが出入り口にはこのように小塔を上にかぶせるように建てている。モスクワの大クレムリンの城壁にも要所要所に塔が建っている。日本の城にも城壁の各所に櫓(やぐら)が設けられている。いずれも設計思想は共通なのだろう。
リザパラジェーンスキー修道院の塀に設けた塔

 修道院内を南北に貫通する通路。南の端に「聖なる門」が見え、左手に72mの鐘楼がそびえている。
リザパラジェーンスキー修道院を南北に貫通する通路

 リザパラジェーンスキー修道院の北口が見えてきた。土地が耕され野菜が植えられている。修道院の人たちが栽培しているのだろうか。北口から外へ出て、更に北へ向かう。

30日、リザパラジェーンスキー修道院北門