デジスコの画質を検証する2006/02/12 12:16

デジスコ解像度テスト用の犬の縫いぐるみ
 フィールドスコープで遠くの小さな野鳥を大きく撮影できる“デジスコ”は、確かに魅力的な手段だが、被写体を画面に同じサイズで捉えたとすると、一眼レフデジカメ+超望遠写真レンズに比べて解像度はかなり低い。

 写真に詳しくない、本当の写真の解像度のすごさを知らない人に、デジスコで撮った写真を見せると「わーきれい!」と誉めてもらえるが、厳しい写真鑑賞眼を持った人をごまかせるレベルではない。

 1年以上かけてデジスコシステムも改善に努めてきたが、どういう組合せでどれだけの画質なのか系統立てて調べて見たいと思い立って準備を進めた。

 デジスコシステム(フィールドスコープ+接眼レンズ+デジカメ)の組合せとデジカメレンズの焦点距離で解像度はどうなるのかを確かめる実験だ。

 解像度に絞って調べるため、他の要素を排除する必要がある。まず、ぶれを徹底的に排除するため砂袋を準備した。ふるいでサイズを揃えた砂を10キロほどごみ袋に詰めた砂袋を用意した。スコープとカメラを砂袋に半分埋めた状態で撮影テストを実行した。

 被写体は、ドイツで作られたスズメサイズの犬の縫いぐるみを利用した。縫いぐるみの表面は非常に細かい毛が植毛されている。その毛が分離して再現されているかどうかに着目して解像度を判断した。

 縫いぐるみが画面一杯に写るように、デジカメのレンズ焦点距離を動かすのにあわせて被写体距離を調節した。この作業は随分時間を要した。

 テスト結果を5段階評価をした。一眼デジカメでの直接撮影の画質を5として、画像処理しなくても鑑賞に堪える画質(縫いぐるみの植毛の1本ずつをぎりぎり解像している画質)を4、植毛の1本ずつの表現があいまいになっている画質が3、画像処理でシャープネスを強く効かせて素人目をごまかせる画質が2、作品にできない画質が1、ぼけて評価の対象外の画質が0とした。

スコープ 接眼レンズ デジカメ 焦点距離 評価
EDⅢ 24XW E5900   7.8mm 4
EDⅢ 24XW E5900  14.9mm 3
EDⅢ 24XW E5900  23.4mm 2
EDⅢ 24XW C5060WZ  13.0mm 4
EDⅢ 24XW C5060WZ  22.9mm 3

EDⅢ 40XW E5900   7.8mm 4
EDⅢ 40XW E5900   14.9mm 1 AFが合いにくい
EDⅢ 40XW E5900   23.4mm 1 AFが合いにくい
(AFがたまたま合焦した場合は解像度評価は2~3になる)
(10.6mm以下の焦点距離ではスムーズにAFが合焦する)
EDⅢ 40XW C5060WZ 15.8mm 4
EDⅢ 40XW C5060WZ 16.5mm 4
EDⅢ 40XW C5060WZ 17.3mm 2 AFが合いにくい
EDⅢ 40XW C5060WZ 22.9mm 1 AFが合いにくい
(C5060WZは15.8mm以下でケラレが発生するので使えない)

 EDⅢと24倍接眼レンズの場合はズームレンズの焦点距離にかかわらずAFもスムーズに働き問題は少ない。

 EDⅢと40倍接眼レンズとの組合せでは、デジカメの望遠側でAFが合いにくくなる。AFが働き合焦すれば2以上の画質を確保できる。ピントが合わないことが最大の問題。
 E5900の場合、ピントが合わなくなる限界点が10.6mmで、このときの35mm換算合成F値はF7.C5060WZの場合は限界点が16.5mmで、F値はF11と1絞り暗い合成F値までAFが働く。
 E5900は広角側で、C5060WZは中焦点域で使えばAFが働く可能性が高い。それより望遠側を利用するとAFが正確に働かずピンぼけの確率が高い。

 1月に追加導入した口径82mmのED82についての試験結果はまた次回に。